線材の延伸過程において、糸引き型の使用寿命に影響する技術条件は主に：反引張力の作用、パス圧縮率、潤滑剤及び線材の表面品質である。延伸中、線材は金型壁の正圧、摩擦力、引抜き力、反引張力を含む多くの力を受けた。糸引き金型の入口に環状摩耗溝がよく現れる力学的な原因は、金型壁が受ける圧縮応力が糸引き金型の入口から出口に向かって徐々に減少しているためであり、最大の圧縮応力は入口直後に現れる。

反引張力の作用は糸引き金型の入口での圧力応力を低下させることができ、潤滑剤の作業領域への進入に有利であり、線材と金型壁の間の摩擦を減少させ、環状摩耗と金型破裂情況を緩和し、それによって糸引き金型の使用寿命を延長した。しかし、過大な反張力は糸引き時の引抜き応力を増加させ、線材の縮径や断線を招きやすい。

パス圧縮率は、金型の寿命に影響を与えるもう1つの要素である。他の延伸条件が同じである場合、金型壁の圧縮応力が大きいほど摩擦応力も大きくなり、金型の摩耗がさらに深刻になる。そのため、許容される延伸条件下で、パス圧縮率を増加させ、作業テーパ角度を適切に減少させることは、型壁上の圧縮応力を低下させ、糸引き金型の使用寿命を向上させるのに役立つ。

潤滑剤の品質と供給も糸引き金型の寿命に影響を与える。潤滑剤は油基の安定性と良好な乳化性を持ち、優れた潤滑、冷却と洗浄性能を備え、銅粉末を濾過しやすく沈殿しやすく、最適な潤滑状態を維持しなければならない。破壊されずに高い圧力に耐えられるフィルムを形成することにより、作業領域の摩擦力を低減し、金型の使用寿命を向上させる。潤滑剤のpH安定性は潤滑効果に重要な影響を与える。エマルション中の銅粉の沈殿は潤滑剤中の脂肪量を低下させ、遊離塩基含有量を増加させ、潤滑性能を低下させる。一方、エマルジョンが不安定で脂肪含有量が高すぎると、エマルジョンが層状になり、微細な銅粉を挟んだ脂肪成分がエマルジョン上に浮いて、銅粉が沈殿濾過しにくくなり、型孔が塞がれ、潤滑作用が悪くなる。

線材の表面品質も糸引き金型の寿命に影響を与える。線材表面に酸化層、土砂、その他の不純物の付着があると、糸引き金型の寿命に悪影響を与える。そのため、延伸する前に深刻に酸化した線材を酸洗処理する必要がある。また、生地を堆積する際には、土砂や他の不純物との接触を避けるために、堆積場所の清潔さに注意しなければならない。